--:--:--
--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
08:59:55
14

お腹がすきました。 .. 21 *R18


「……キリタニさん」

「ん?」

「……しない、んですか」



 何を?そんなの、聞き返さなくてもわかる。



「……ゴム持ってないから、今日はいい」



 本当のところは、もう彼女を自分のものにしたくて仕方がない。けれど今日、まさか彼女をこうして抱くことになるなんて一切思っていなかったから、準備なんて当然している訳もなく。
 「つけないで外に出す」なんて、本当に果たせるかどうかもわからない約束を押し付けるつもりもなかった。無責任な事はしたくない。
 どうにも俺は水森の事になると理性が上手く保てない。それは既に自覚してる。
 だからこそ、一夜の過ちで彼女の未来を潰してしまうかもしれない選択をするわけにはいかなかった。となれば、残される選択肢なんて限られている。
 今更コンビニに駆け込むのも、がっついているヤツみたいで情けない。何も今日じゃないと駄目だという話でもない。たとえペッティング行為だったとしても、こうして彼女に触れられたのだから。

 ―――と、そう思っていたのは、どうやら俺だけだったようだ。



「あの」

「うん?」

「私、持ってます」

「………へ」



 変な声出た。けど仕方ない。そんな返答が返ってくるなんて誰が想像できる。



「……持ってる、って」

「あ、の。サイドテーブルの、引き出しの中に」

「………」



 水森が控えめに言う。横抱きにしている状態から解放して、少し身を乗り出してサイドテーブルの引き出しの中を覗き込む。
 少し奥の方に、それは入っていた。小さい箱に収納されたそれを手に取るべきかどうか。迷いが生まれる。



「……水森、これ」

「あ、あの。変な誤解しないでください。来たるべき時の為に買っておいただけ、です」

「……あ、うん。気遣わせたみたいで悪い」

「い、いえ」

「……使って、いいの?」

「……使ってくれないんですか……?」

「………、使う」



 ぎこちない動きでそれを取り出して、枕元に置く。けど中身は取り出さなかった。照れ臭さもあったし、今はまだ、彼女の体温を味わっていたかったから。
 俺はTシャツ姿だけど、水森は一寸纏わない格好だ。毛布に掛けてあった一枚のシーツを胸元に寄せて身を隠している。
 彼女の横に寝転んで、髪を一筋、指に掬う。くるくると人差し指に巻きつけて、するりと解く。そんな他愛のない行為を、水森は黙って見ていた。



「……水森さ。今日誘ったのって、勝負かけようとか思ってたから?」

「……そう、です」

「やっぱり、そうなんだ」

「……なんで、抱いてくれないのかなあって思ってて。私に色気がない所為かな、って」

「そっか。悩ませてたみたいで悪かった」

「……いえ」

「でも、そういう理由じゃないから。俺も、抱きたいってずっと思ってたから」

「……っ」



 俺の告白に赤面してしまった水森が、恥ずかしそうにシーツをぎゅっと握り締めながら身を寄せてきた。赤くなった頬を見られたくないのか、隠すように胸元に顔を埋めてくる。普段の彼女らしかぬ、そのいじらしい姿に加虐心を煽られてしまうのは、好きだから仕方ないと勝手に頭の中で処理する。
 シーツを掴む彼女の手に触れる。そのまま馬乗りになって、両手首を掴んで開かせた。薄っぺらい布がはらりと毛布の上に落ち、彼女の素肌を暴く。
 抵抗される前に、細い腕を毛布の上にまた押し付ける。手首から手のひらへと辿っていく指が、彼女の指先に触れ、互いの指が絡まった。



「アレ、使ってほしいなら自分から強請ってみて」

「っ、え」

「入れて、って言ってみて」

「……キリタニさんが変態化した」

「男なんてみんな変態だろ」



 薄暗い中でも映える白い肩に噛み付く。それだけで甘い息を漏らしてしまう彼女の顔は、既に蕩けてしまっている。
 鎖骨に唇を寄せて、舌を這わす。肌の薄いこの部分はどうやら水森の性感帯のようで、びくりと過剰に反応を示した。その体は既に熱を持ち始めている。



「そんな恥ずかしいこと、言えないです」

「さっき恥ずかしい事たくさん言ってただろ」

「あ、あれは。夢中だったから」

「タメ語可愛かった。余裕なくなるとあんな口調になるの?」

「わ、わからないです」

「わからないんだ?」

「……わかりません」

「じゃあ、これからたくさん抱いて検証するしかないか」



 言いながら耳元にも舌を這わす。中に舌をねじ込めば、身を捩って逃げようとする。けど両手はしっかりと俺に捕らえらているから身動きが出来ず、彼女が逃げることは叶わない。
 そんな状態なんてお見通しの上だった俺は、わざと音と立てて水森の耳に刺激を与え続ける。彼女の唇から熱い吐息が零れた。



「……なあ、言って」



 耳元に唇をくっつけたまま囁く。



「っ、や、です」

「1回だけでいいから、言って」

「ん、や……無理、です」

「―――……さやか」

「っ、」



 ぱちり、目を見張った水森の瞳が瞬いた。俺を見上げて、その頬がますます紅潮していく。どこか、嬉しそうな表情を滲ませながら。



「ふ、不意打ちはズルいって言ったのに」

「うん。どさくさに紛れて呼んでみた」

「……」

「言う気になった?」



 何もここまで追い詰めなくても、とは思う。別に、何が何でも言わせたいわけじゃない。なんというか、困ってる顔が可愛かったから苛めたくなった、それだけだ。まるで小学生だ。
 一方の水森は、何かを耐えかねているような複雑な表情を浮かべている。きゅっと閉じたままの唇が、小さく開いた。



「………い、れて」

「……」

「わたしを、郁也さんのものに、して」

「……」



 ………想像以上の破壊力だった。



 いきなり理性がぶっ飛びそうになった。ギリギリの自制心を奮い立たせて、なんとか情欲を鎮める。危なかった、本当に。
 いいよ、そんな意味合いも込めて彼女に口付けた。触れるだけのキスを繰り返しながら、手を彼女から離して例の小箱を掴む。片手で蓋を開けて、中から避妊具を取り出した。



「優しくするから」

「……はい」



 了解を得て、赤いままの頬にキスを落とす。体を起こしてから早々に準備をして彼女の両足を開けば、既にそこは潤いを見せていた。自身をその入口にあてがえば、ビクリと反応した彼女の腰が引く。若干、怯えてるようにも見える。
 あまり怖がらせたくはないな、そう思っていた時。



「……?」



 視線を感じる。
 彼女は少しだけ身を起こして、俺を見ていた。
 いや、正式に言えば、俺ではなく入口にあてがわれているものを。

 その顔が、何故かぴりっと凍りついたように固まっていた。蕩けた表情はすっかり消え失せ、普段の、いや普段以上の無表情っぷりに変貌を遂げている。冷めたような目で俺と、俺自身を交互に見やる。そして硬い表情のまま、水森はふるふると首を振った。



「無理。」



 そんな、男にとって致命的な一言を呟いて。



「無理じゃない。大丈夫、がんばれ」

「頑張れないです」

「入れてって言ったじゃん」

「そんな規格外のポークフランク入らない」

「ポークフランク言うな」

「絶対痛いです無理です」

「あと俺はごく普通のサイズですから他人と見比べたことないけど」

「無理です」

「大丈夫。いける」

「無理です」



 頑なだ。お互いに早口で捲くし立てながら口論を続ける。
 というか、何が悲しくて野郎のサイズがどうのこうのと、自分の彼女と激論を交わさなければならないのか。



「……じゃあ、どうすんのこれ」



 すっと伸びた指が、彼女の秘部に触れる。くちゅ、と卑猥な水音をたてて、溢れる蜜を掬い取った。指先に光る粘着質な液は指と指の間から糸を引いていて、それを見た彼女の顔が途端に赤く染まる。口では何とでも否定できるけれど、身体というのは悲しくも正直に出来ている。その様をありありと見せ付けられた水森は悩ましげな表情のまま口を閉ざしてしまった。



「よいしょ」

「えっ、え、あの、」



 沈黙を破るかのように、俺は彼女の腰を掴んで引き寄せた。バランスを崩した水森の体が後ろに倒れて、ぽすん、と毛布に沈み込む。彼女の両足を抱え込み、体重を掛ける。焦ったような声が俺を制止する。



「あ、や、だめ」

「ここまで来てダメとか無理な相談だから」

「や、ほんとに待ってっ」

「はいはい。慣れたら気持ちよくなるって」

「ちょ、待って!」

「挿れるよー」

「やー!」



 俺に押さえつけられてる所為で思うように動かない手足を、無理やりバタつかせて行為を中断しようとする。まるで駄々こねてる子供みたいだ。口調もタメ語になってるし。全く色気もムードも何もない。
 けど、この緊張感の無さは逆に、俺達らしくていいのかもしれない。
 彼女の濡れてる箇所に自身をあてがいつつ、ぴたりと動きを止める。彼女は訝しげな表情を浮かべながら俺を見上げてきた。その頬をゆったりと撫でる。



「嘘だよ」

「え」

「無理やりするわけないだろ。そんな趣味ない」

「……」

「ほんとに嫌なら、しなくていい」

「……キリタニ、さん」

「抱けなくてもいい。さやかが一緒にいてくれるだけでいいから」



 ほんの少し、強がった。けど、本音だ。
 この先、彼女が傍にいない未来なんて描けない。



「……わたし」

「うん」

「その、え、エッチは初めてじゃないんですけど」

「うん」

「最後まで、したことなくて」

「……あ、そうなんだ」

「お、男の人のものを見るのも初めてで」

「……」

「そんなビックフランクだったなんて」

「ちょっとフランクから離れようか」



 もう会話が普通にギャグだ。今後、フランクフルトを普通に食べられそうもない。
 あと俺は日本人の一般平均サイズ程度だと思う。平均サイズがどれくらいかは知らんけど。



「……抱いて、ください」

「……大丈夫か?」

「が、がんばります」



 何を頑張るのかはわからないけれど、とりあえず彼女の中で覚悟が決まったらしい。



「き、キリタニさんのフランクフルトだと思えば耐えられる」

「おいやめろ」



 何でもかんでも食べ物に繋げるのやめてほしい。

スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。